ライコネンのバージボードに獅子のロゴ。アイスマンを支援する『シンハービール』ってどんな企業?

更新日:2019年8月4日


©F1'nder

表彰台に上がれば飲む。おまけにちょこっと撒いてシャンパンファイトは終了。プライベートでも飲んで、たまに暴れる。


レースだけじゃなく、プライベートでもお酒にまつわるエピソードが多いキミ・ライコネンですが、今日はそんな彼を支援する彼のパーソナルスポンサーをご紹介したいと思います。


その名も『シンハービール』。しばしば冗談で酔っぱライコネンなど言われた彼にはいかにもピッタリな企業です。


では、そんなシンハービールとはどんな企業なのか?ご紹介していきたいと思います。


シンハービールとは一体どんなビール?

シンハービールはタイが原産の、タイを中心に東南アジアで人気を誇るブランドとして知られているようです。


メーカー自身がプレミアムビールを謳っていることから、恐らく日本でいう所のエビスビールのような立ち位置なのではないかと思います。


そのお味はというと比較的さっぱりとした味わいが特徴で、これは東南アジアの料理にマッチするような風味を仕上げられているようです。アルコール度数は5%。


また、飲み方も日本のビールとは違い、現地では氷を入れて飲む人も多いそう。


シンハーとは古代壁画に登場する獅子の事を指し、この商品を象徴するラベル描かれる獅子が印象的で、昨年まではフェラーリ、今季よりアルファロメオのマシンに刻まれるロゴがそれに当たります。

©F1'nder

ちなみにボトル瓶には上のラベルに神鳥であるガルーダが描かれおり、これはタイ王室から授与された証。


ガルーダはタイ王国を象徴する生き物で、つまりこれは王室に認められた国民的なビールであることを示しているそうです。


また、日本でもエスニック料理店やビアバーなどで置かれていることもありますし、Amazonなどで買うことも出来ます。


ハイネケンやレッドブルのようにグランプリの会場にショップを出店したりするなど、既に認知度を獲得した層に対して手軽に飲める機会を作れると面白いのですが、現状ではそういった場面はあまり見たことがありませんね。


ちなみに、日本ではサッカークラブであるセレッソ大阪のオフィシャルパートナーも務めており、こちらではセレッソの試合でスタジアムにブースを開いているので、そのうち日本GPでもこうしたお店が出店される可能性はあるかもしれないですね。


ちなみに日本GP前にはライコネンがタイへ赴きイベントに参加するなど、イベント嫌いな彼も個人スポンサーということもあってか、きちんとプロモーションに協力する姿が印象的でした。


F1ファン、特にライコネンファンもしくは彼と似た味覚をお持ちの方は、そのお味も気になるところではないでしょうか。笑


ちなみに同じくライコネンの個人スポンサーには、『ハートウォール・ロングドリンク』もありますが、そちらはまた別の機会があればご紹介したいと思います。


勢力図拡大を狙うシンハーは、近代F1のスポンサー効果を占う存在!?
ライコネン車のバージボードにはいつもシンハーのロゴが(©F1'nder)

すでに東南アジアでは高い人気を誇るシンハービールですが、世界中へと視野を広げたい理由がありました。


それはタイ国内でシェアをグングン伸ばしている『チャン』と『レオ』の存在です。この2つのビールメーカーは格安路線でシェアを伸ばし、長い歴史を持つシンハーは今や国内シェア3位と押され気味。


そこでシンハーは売り上げ拡大を望み国内から世界へと視野を広げ、イングランドの名門サッカークラブであるマンチェスターユナイテッドへのスポンサー活動も行うなど、実に12億バーツ(約41億円)もの資金を用いて、新規顧客を求めることになりました。


世界中に顧客を求めるサッカーの名門クラブとF1は遠いようで近くにある存在であり、彼らのイメージキャラクターとしてうってつけな存在が、お酒のイメージが強く名門に所属する人気ドライバー、つまりライコネンだったのでしょう。


当時フェラーリに在籍していたライコネンのパーソナルスポンサーになることで、フェラーリのマシンにロゴが描かれるまでのストーリーは、しっかりイメージ出来ていたはずでしょう。

サッカー界だけでなくF1でも名門チームのスポンサー支援にこぎつけることが出来たのです。


また、これらのスポンサー活動が名門チームに集中している点からも、シンハーというブランドの性質を感じさせます。


少々、スポンサー費用がかさんだとしても、タイ王室に認められた由緒正しきお酒であるというイメージを崩す発想は無かったのだと思います。


現在ではヨーロッパでの製造、販売が行われていることからも、ヨーロッパで人気のあるサッカーやF1が人気のある地域での勢力図拡大を狙ってのスポンサー活動は自然と言えるでしょう。


また、このシンハービールのスポンサー活動はF1側からの視点で観ても、興味深いところがあります。それは新規顧客の獲得にF1がマッチしているのかという点です。


もちろん、これは業種による影響が大きいので一概に言えない部分がありますが、ビールということであれば、購買へのハードルはかなり低い分野だと言えます。


こうした戦略で成功した例は近年でいうとレッドブルやモンスターなど、F1のイメージを上手に利用し、認知度の向上と共に売り上げを伸ばしていった良い例です。


しかし、それも10年程前の話。ふと近年のマシンたちを観ていくと、現在のF1マシンに描かれる企業たちの多くが既に高い知名度を誇っていることを感じます。


現在でもハイネケンやロレックスと言った有名企業が、F1グランプリのタイトルスポンサーを買って出るのを目にしますが、既に世界中で高い知名度を誇っています。


なのでこの場合は、”知ってもらう”というより”思い出してもらう”ことが主な目的ではないでしょうか。

シンハーと同業種のハイネケンはチームではなくGPスポンサーとして活動、この辺りにも思惑の違いが見られる(©F1'nder)

恐らくこれらは、ブランドクオリティの向上が主な狙いだと想像出来ますが、シンハーの場合は全く新規となる顧客の獲得を望んでいるはずです。


もちろん、今後新たに開催されるベトナムGPや噂が巻き起こるフィリピンGPの場合であれば、ハイネケンの例に沿った効果も得られるでしょうが、爆発的な伸びというのは考えにくいはずです。


近年では先日ハースF1とのドタバタ劇を演じたリッチエナジー(現:ライトニングボルト)や、ウィリアムズに支援を行うRokitなど、明らかに知名度向上を狙う企業もあることは確かですが、かつてと比較すると割合は減っているように見受けられます。


これはF1というスポーツが新規顧客の開拓というより、どちらかと言えば既存ブランドのイメージ向上としての効果の方が高いことを表す傾向だと私は考えています。もちろん、チーム側としてみれば有名企業の方が信頼出来るので、契約を結びつけやすいという理由も無視できませんが。


とはいえ、シンハービールがF1を通して発展出来るかどうかという点は、今後F1スポンサーを務める企業にとっては良い参考例になると考えています。


既に情報、通信などは世界中でグローバル化が浸透してきていますが、物品のグローバル化もさらに進んで行くと考えると、現在のシンハーと似たような境遇の企業は世界に沢山あるはずです。


F1へのスポンサー活動への意図も時代と共に変化することは確かで、このシンハーのプロモーションが成否が今後のF1スポンサー業界を占うといっても過言ではないのかもしれません。


もちろん、このF1スポンサー活動を経てシンハービールが発展してくれると、F1ファンとしても嬉しいところですね。