F1を愛した企業たち『マレーシアの国営石油企業-ペトロナス編-』


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スポーツチームのスポンサーは単純に企業としてPR活動の一環としてだけでなく、そのスポーツに対し特別な想いを持って支援をしているケースが多く見られます。


特にモータースポーツであるF1の場合には、激しい技術競争も大きなテーマであるため、企業とチームが共により先進的な技術を求めて手を組むということも少なくありません。


F1マシンには様々な企業のスポンサーロゴが張り付けられていますが、自動車産業に関わりのある企業が多く見られるのは、そういった背景も少なからずあります。


今回、ご紹介する『ペトロナス』という石油企業はF1のスポンサーとなり知名度を高めながら、チームにガソリンやオイルを提供している、いわばF1チームの一部でもあるスポンサーなのです。


ペトロナスという企業
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では、最初にペトロナスとは一体どんな企業なのかご紹介していきたいと思います。


クアラルンプールに拠点を構えるペトロナスは、マレーシアの国営石油企業として知られています。


1974年に設立されたこの会社はマレーシアで豊富に生産される石油、天然ガスの生産開発に加えそれらの輸出、さらには資源の探査、石油化学製品の製造など、この分野において幅広い事業を展開している企業です。


その活動域は世界80カ国にも及び、日本にも多くの液化天然ガスを輸出していることで知られています。


日本で見かけることはありませんが、マレーシア周辺の国ではペトロナスのガソリンスタンドもあるようです。


この企業の本社でもあるペトロナス・ツインタワーは、名前の通り2つのタワーが中階層で繋がっているという珍しい構造でも有名。実に452mという高さを誇り、クアラルンプールを象徴する建造物としても知られています。


このツインタワーはそれぞれ”タワー1”、”タワー2”と呼ばれ、タワー1は日本のハザマ建設が、タワー2を韓国のサムスン物産建設部門によって建設されました。


また、イタリアのミラノにラボセンターを所有し、ここでは自動車・バイクなどに使用される製品の研究開発が行われています。


また、石油事業などの専門分野に関する人材育成にも注力しており、1997年にペトロナス工科大学を設立。もちろん、この大学は化学工学分野に強みを持っており、日本の大学とは明治大学や九州大学と協力提携を締結しています。


このようにペトロナスはマレーシアを代表する石油企業でありながら、その将来へ向けた人材育成や製品の開発なども手広く展開しているグローバル企業なのです。


ペトロナスとF1の関わり

そんなペトロナスとF1との関係が始まったのは1996年のこと。


ザウバーF1チームのタイトルスポンサーとなり、ザウバーC15のマシン側部にペトロナスのロゴが描かれ、ここからペトロナスとF1の長い付き合いが始まります。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%82%A6%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BBC15

1997年にはザウバーに提供されるフェラーリエンジンにペトロナスのバッジネームが付けられ、ザウバー・ペトロナスやペトロナスエンジンという言葉が浸透し始め、徐々にその存在感を強めました。


この頃、ザウバーは青いフェラーリとも呼ばれており、青を基調としたカラーリングとペトロナスのロゴが描かれたマシンは、ザウバーチームの一時代を象徴するデザインとしてファンには広く知られています。


このカラーリングのマシンにはジャン・アレジ、また若き日のキミ・ライコネン、フェリペ・マッサなど後に人気選手がデビューを飾ったマシンでもありました。

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2006年からザウバーはBMWのワークスチームとして買収されますが、その後も同チームのスポンサーを務めあげ、2008年のカナダGPではロバート・クビサのドライブによって、”ペトロナス”のロゴが描かれたマシンがF1初優勝を飾ったのです。


また、このレースではクビサのチームメイトであるニック・ハイドフェルドが2位に入り、初優勝と共に1-2フィニッシュを達成。


しかし、2009年末でBMWがF1撤退を決め、ザウバー時代から長く続いた歴史はここで終わることとなりましたが、ペトロナスは新たにF1復帰を果たしたメルセデスのワークスチームとスポンサー契約を締結します。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%87%E3%82%B9AMG_F1

このメルセデスではミハエル・シューマッハとニコ・ロズベルグによってドライブされ、ペトロナスの名前は更に存在感を強めていきます。


また、シューマッハの引退後の後任をルイス・ハミルトンが務めたことから、2010年以降ペトロナスのロゴが刻まれたマシンをドライブした選手は、揃ってF1王者を経験するドライバーとなったのです。

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2017年にバルテリ・ボッタスが加入したことでそのジンクスは途切れることとなりましたが、2014年以降はメルセデスの躍進によって中継で映される機会も倍増。


2014年以降は2018年までチャンピオンチームのスポンサーを務め、PR活動だけでなく技術的な提携の成果としても、タイトル獲得という見事な結果を残してきました。


また、彼らのスポンサー活動はチームだけに留まらず、本拠であるマレーシアでのグランプリでは大会の冠スポンサーを務めるなど、F1のレースそのものへの支援も行ってきました。

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2014年以降圧倒的な強さを誇ったマシンのリアウィングとサイドポンツーンには、ペトロナスのロゴが大きく描かれ続け、近代のF1を象徴するマシンとして今後も語り継がれていくことになりそうです。